公益財団法人 佐野美術館

収蔵品詳細

黒織部くい違い茶碗 (くろおりべくいちがいちゃわん)

画像情報

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名称・銘:
黒織部くい違い茶碗 (くろおりべくいちがいちゃわん)
分類番号:
陶磁器日本276
員数:
1口
法量:
口径 15.1 cm×10.9cm
高 8.0 cm
高台径 6.1 cm
国:
日本
時代:
桃山時代(17世紀)

解説

 織部焼は、桃山という破格の時代を代表する焼き物である。産地の美濃地方は、近世初頭に日本で唯一色彩あふれる焼き物を作り、京都など大消費地を席巻したところである。
 当時、美濃焼のほとんどは茶の湯で用いられた。中でも織部焼は、茶人でもあった武将古田織部の好みを強く反映しているといわれ、斬新で奇抜な意匠が特徴である。これは全体が大きく歪み、口縁の一部に亀裂が入った茶碗。側面には黒い釉薬を大胆に掛け、掻き落として文様を描いている。底をみると、ヘラで削ったところに紐状の土を丸く付けて高台にしている。この荒々しさが、織部焼の茶碗の特徴である。中でも黒織部は、鉄分を多く含む「鬼板」と呼ばれる釉薬を使っていて、焼き上がりを急冷して漆黒の色を出している。歪んだ形の茶碗は当時「へうげもの」と呼ばれ、正円や四角といった決まりきった形から逸脱した桃山の美意識を象徴する。