扇蒔絵印籠 (おおぎまきえいんろう)
青銅塗の地に、流水と、その上を流れる扇を表裏に大きくあしらう。扇は左半分を黒石目塗にし、右半分は細かな金銀切金の市松文様と檜垣文様を交互に蒔絵する意匠で、最下部は細かな切貝で檜垣文をあらわす。裏面の扇の中には金蒔絵の波文の上を銀の千鳥が連なって飛ぶ。池田泰真(1825~1903)は柴田是真の高弟で、本作は単純化した意匠ながら、多彩で卓越した蒔絵技法を楽しめる是真風の作。