網干図 (あぼしず)
魚網が干された金地の砂浜。金雲の間から群青の海原が見え、その間を帆船がゆく。青々と繁茂する芦の葉は、右から左へ目を移すと、穂をつけ、枯れ葉となり、粉雪が舞う。ここに季節のうつろいが表わされる。海北友松(1533~ 1615)は近江国浅井家の重臣の子として生まれた。浅井家滅亡の折、海北家も運命を共にしたが、友松は京都・東福寺に預けられていたため難を逃れ、のちに画家として大成した。絵の師は狩野元信、また永徳といわれる。明快かつ理知的な画面構成を特徴とし、それは武士の出らしい気骨さと長い禅林環境のなかで養われたものともいえよう。